火災・煙の挙動を数値解析
FDSは米国NIST(国立標準技術研究所)が開発した火災動力学シミュレータです。 建物内の火災発生、煙の拡散、温度分布、避難に影響する視界の変化などを、 計算流体力学(CFD)で再現できます。
FDS Simulation
火災動力学シミュレータ(FDS)を使った解析の記録です。
モデル作成から計算環境の壁、そして富岳での並列処理までの流れをまとめています。
FDSは米国NIST(国立標準技術研究所)が開発した火災動力学シミュレータです。 建物内の火災発生、煙の拡散、温度分布、避難に影響する視界の変化などを、 計算流体力学(CFD)で再現できます。
本校舎をモデル化し、火災シナリオごとの煙の動きを解析。 得られたデータはVR体験アプリや避難訓練のシミュレーション素材として利用しています。
モデル作成から富岳での大規模計算まで、試行錯誤の記録です。
まずはBlender for FDSを使い、校舎の3DモデルからFDS用の入力ファイルを作成しました。 壁・開口部・火源の配置など、シミュレーションに必要な設定までここまでは自力で進められました。
いざ計算を回してみると、手元のローカルPCでは1ケースあたり40時間以上かかる見込みに。 高性能なマシンでも、FDSの大規模解析には限界がありました。
| CPU | AMD Ryzen 9 8940HX |
|---|---|
| メモリ | 32 GB DDR5 |
| ストレージ | SSD 3 TB |
| GPU | NVIDIA GeForce RTX 5070 Laptop |
| 見込み計算時間 | 1ケースあたり 40時間以上 |
次に考えたのは、地元の愛媛大学にある高性能PCの活用です。 工学部の方々にも相談しましたが、使わせていただける時間や工数的な面から、 今回の規模・本数の計算を任せるのは難しい状況でした。
ローカルでは時間がかかりすぎる。大学のマシンも工数的に厳しい——。 そこで思い切って、世界最速クラスのスーパーコンピュータ「富岳」の利用を検討することにしました。
「そうだ、富岳使おう!」
富岳の利用申請の手続きを進め、計算資源の正式な利用枠を申請しました。
申請の結果、高校生として初めて富岳の正式採択を受けました。 これまで個人や学校単位では手の届きにくかった大規模計算に、 ようやく本格的にアクセスできる段階まで来ました。
採択後は10ノードを接続したクラスタ構成で並列分散処理を実行。 1台のPCで延々と回すのではなく、複数ノードに計算を分割することで、 待ち時間を大幅に短縮できました。
結果、約5時間で計算が完了。10パターン分のシミュレーションを一気に終わらせることができました。 ローカルPCなら400時間以上かかっていた計算量が、富岳の並列処理で現実的な時間に収まりました。
40時間超 × 10パターンの壁を、富岳の力で突破しました。